3/30 甲田守の『根こそぎ掘りデー 』第4/4回  I ,Yuki Enami.

  ぐるぐるぐる、ぐるぐるぐる、今ふたりは迷っています。代々木公園を後にし次なる目的地へと向かう道中。前を歩くは女の子、一歩下がって男の子、果たしてどこに行くのやら。ふたりのデートは後半戦に突入です。

  ちょっといい化粧品を買いに。彼女の提案で向かう先はLUSHというお店。  しかし、なかなか、なかなか目指す場所には着きません。携帯を片手に先導する榎並氏。どんどんどんどん路地裏へと入っていきます。道に迷ったのは明らか、甲田も手を貸しましょうか、いやいや大丈夫ですよと榎並氏。ふたりでうろちょろしております。

  ひとりだったらこんな風に迷うこともないのになぁ、ひとりだったらLUSHに行くこともないのになぁ。ひとりだったら…。それがふたりだったら…?ふたりだったら道に迷うことも『できる』。ふたりだったらLUSHに行くことも『できる』。それがふたりと言うものか…。

  道に迷ったそんなふたりですが何とかお店に辿り着くことができました。

早速店員に尋ねられる榎並氏。

  前もって購入したい商品の目星をある程度付けていたようです。色々と説明を受けるうちにカウンセリングへと発展。榎並氏の目的に適った化粧品を選ぶことに。ご一緒にどうぞ、と甲田も勧められるままに着席します。

なにか手につけられる榎並氏。

  お客さんが周りを取り囲む中、店員を含めた私たち3人だけが座ってカウンセリングを受けています。

「どんな肌になりたいですか?」「普段はどんな手入れをしていますか?」

  ムムムッ。こんなプライバシーに関わることを横から盗み聞きしていいものか。すっと立ち上がってその場を離れようかとも思いましたがなんかそれも違うなと。特に助言を与えることなんてできないけれど聞くぐらいのことならできる。榎並氏の世界にそっと入り込んでふたりで決めるのも悪くないな、なんて。

  店員さんも懇切丁寧に対応してくださり、ふたりで色々な化粧品を試してみることになりました。

手を洗ってもらうふたり。

  最終的に提案してくださった商品は当初希望していたものとは違ったものの本人も納得の上購入することに決めました。

「ひとりだったらこんな風に店員に話しかけられてもカウンセリングなんて断っていたと思うなぁ。」

  榎並氏のそんな発言をついつい卑屈に捉え、めんどくさいことに巻き込んでしまってゴメンねと甲田。  けれどどうやらそういった意味ではなく感謝の意を込めて言ってくれたようです。道に迷うこともありますがふたりはそれだけではありません。

  買い物も一段落しましたので少し休憩でも取りましょうか。喫茶店にでも入ろうと今度は甲田が先に立って歩きます。表参道からまたまた裏路地の方へと入っていきます。しかし何を忖度しているのでしょうか。なかなかお店が決まりません。優柔不断。ひとりだったらそんなさまは特に問題ではないでしょうが今回は違います。横に歩くパートナーが痺れを切らしているのがヒシヒシと伝わってきます。だってさっきから同じところをグルグル回っているのですから。結局、榎並氏の決断に任せることとなりました。

ピリピリした状態から笑顔を取り戻した榎並氏。

「私の方がガッツリ食べてますねえ(笑)」

  ガッツリ食べるのは男の子、少食なのは女の子、とそんな一般論があるのかはわかりませんが、今日のふたりはそれとは全く真逆でした。決断力の鈍さに空腹も加わっていたからなのか(そこに気づかないのもある種の鈍感さだと言えましょう)一時は危うい雰囲気も漂っていたふたりでしたがご飯を食べながらの会話がまたふたりを穏やかな関係へと誘ったようです。

  当初の予定より長くつらつらと書き連ねてしまいましたが今回のふたりはここまでと致します。どうもありがとうございました。次回の根こそぎ掘りデーは来月の更新を予定しております。どうぞお楽しみに。

おまけのクンクン榎並氏。