甲田守の『根こそぎ掘りデー』第16回 高校の同級生と今を生きる2

最近は頗る調子が悪いかと思われます。
『卒業式、実行』では衣装を忘れることが度々ありました。
公演後は携帯電話を紛失するということがありました(幸運にも交番に届けられており無事に解決しましたが…。)。
直近ではトイレのドアを閉め忘れるという事件がありました。
図書館のトイレを使ったいたのですがカギの閉め忘れに気づかずドアを開けられてしまいました。
意外にも開けた方の方が驚いていたようで私は平然とうんちをしておりました。本当に申し訳なかったと思います。

さて先日は高校の同級生と一緒にシネマウント・フィルム・パーティーの定期上映会へと言って参りました。
私は開場する12時半から終映する17時45分までずっと会場にいました。定期上映会には今まで何回も足を運んでいますが最初から最後までいたのは初めてのことかもしれません。学生が創った小品とたくさんの小野映画を堪能しました。
高校の同級生ちかごんは14時過ぎ頃到着。自主映画を観るのは初めてだったと思うのですが結構楽しんでくれたようです。「ずっと好きなことを続けているってスゴイなあ」とまあ小野さんのことを感嘆しておりました。
もう一人の同級生おっしーが到着したのは終映10分前のことでした。遅刻常習犯の彼女のことなので遅れてくることは推察できましたがまさかここまで遅れてくるとは…。
以前に上映会に誘ったとき彼女は最後まで会場には姿を現しませんでした。不安になった私は終わってから何度も連絡しましたが繋がらず漸く翌日になって「寝てたゴメン」の連絡です。おっしーはそういうやつなのです。
帰り道、三人で今回観た映画の話をしようにも当然ながら一人だけ会話には全く入ってこれません。いやはや参った。
そのまま三人でご飯を食べに行くことになりました。

前回もそうだったのですが話はなかなか尽きないもので閉店間際までペチャクチャペチャクチャ喋っておりました。
ちかごんもおっしーもビールがとても好きでめちゃくちゃ飲みます。自分は普段はそこまでお酒を嗜む方ではないのですが嫌いではありません。前回に続いてまたたらふく飲んでしまった…。
会社で働くちかごんは絵を描くおっしーや舞台に立つ私を「輝いている」と評します。いやいや、ちかごんだって会社で重要なポジションを任されているし「輝いている」、いやいや自分は会社に依存しているだけだと話は平行線を辿ります。
ちかごんは高校の頃から本当に優秀で今でも「えっ、そんなことやってんの!?すごいなあ!!」ということをやっています。大変なこともあるのだろうけどこちらからは楽しそうに働いているように見えるし、ちかごんの仕事の話は総じておもしろい。
家に一枚高校の頃の写真が見つかりました。修学旅行にいったときの写真です。偶然にも三人が一緒に写っていました。
今とどう変わったのか。同じように写真を撮ってみようと思い立ちました。けれどおっしーがベロンベロンに酔っ払っていて「フュージョンしよう」とか言い出したため構図は変な感じになる。
まあ楽しく生きてますね。

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甲田守の『根こそぎ掘りデー』とは…?

休日の行動スタイルが基本的に「座っている」で有名なネコソギこと甲田守がホリデーに誰かを誘っては「座っている」からの脱却を図るという、知的かつ高尚な難解プログラミング企画………ではなく単純に誰かを誘って遊びに出かけるという、ただそれだけの企画である。隔週月曜更新を予定。

『根こそぎ掘りデー』は今回で最終回になるかもしれませんしならないかもしれません。

甲田守の『根こそぎ掘りデー』第16回 高校の同級生と今を生きる。

先日『卒業式、実行』が無事に終わった。舞台には高校の同級生が多く駆けつけてくれた。観に来てくれた一人が個展を開いていると聞く。高校の同級生と会う機会はそう滅多にあるものではない。行くことにした。
おっしーとちかごん。個展を開くのがおっしーで一緒に訪れたのがちかごん、三人で集まった。開催地は原宿の小さなカフェ、絵本の読める喫茶店『SEE MORE GLASS』というところだ。原宿のとあるビルの地下に位置しており、こんなところにこんなカフェが…と思わせる。店内には絵本がぎっしりと並べられており手に取って読むことができる。おっしーは以前にもここで個展を開いている。どうやっておっしーが店主と知り合ったかはわからないがどうやら常連のようだ。
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おっしーは絵本が好きなのだと思う。今回の個展『猫とダイオウイカ』では飾られた絵の横に文章が添えられていた。猫とダイオウイカがフランス料理店を経営するというストーリー。おっしーが描く絵には猫が頻繁に登場するがダイオウイカは今回が初めてだった。その由を尋ねると、ある日掃除機に振り回される自分のその姿がまるでダイオウイカみたいだった、という出来事に着想を得たらしい。おっしーらしい発言だなと思った。
その日は個展の最終日で閉店後は三人で絵を片付けた。そしてそのまま皆でご飯を食べに行くことにした。
同級生と集まれば学生時代の昔話に花が咲く、というのが一般的な流れかと思われる。過去について語るのは私も好きだ。当然のように昔の話へ持っていこうとする自分がそこにはいる。けれどそんなことを考えているのはおそらく私だけで他の二人は違ったのかもしれない。そして私も学生時分の話題がうまくできないことに自分でも気づく。それもそのはずで私たちは特に仲が良かった三人組というわけではない。三人で遊んだ経験など今の今までなかった。だからなのか『過去』の話はほとんどといって出ない、というか出すことができない。話されるのは『今』なのだ。二人が話す今はとても輝いていた。
高校の頃、うまく友人関係を築けなかった私は今対等に人と向き合って関係を築こうとしている。私は過去に花を咲かせることはできないが結果的に今がきらめく人生を送ることができているのかもしれない。