「卒業生の言葉」大阪府立住吉高等学校3年8組甲田守

アガリスクエンターテイメント第25回公演『卒業式、実行』がただいまサンモールスタジオにて上演されております。
劇中では「卒業生の言葉」が読まれます。
自分も対抗して書いてみたのですがこれがなかなか難しい。
「卒業生の言葉」を読む人っていうのはまあまず学校のことが好きだったり楽しい思い出満載だったのだろうなあと思います。
けど学校には絶対辛い思い出満載の人もいるんだろうなあなんて思ったりもします。
自分はというと一時は学校を辞めようかと思い悩んだ時期があったけどまあ何とか卒業できたタイプといいましょうか…?
まあ辞めててもおかしくはなかったわけでして…。
だからかなあ?なんかカッコいいことは書けないですわ。
と言うわけで「卒業生の言葉」を書いてみました。
申し訳ございませんが今回の『根こそぎ掘りデー』はお休みとなります。

「卒業生の言葉」
本当にあっという間だったなあとそのように思います。この住吉高校に入ろうと思った頃、私は夢と希望に溢れておりました。スミコーは制服がないから私服で登校できる、髪だって染めることができる、ピアスなどの装飾品の類も自由に付けることができる、化粧だって好きなだけできる、そんなところに憧れてたのだと思います。けれど私が入学して行ったことといったら最初に述べた私服で登校ぐらいで染髪やピアスだったり化粧とかはなあんにもしませんでした。まあもとからそれがやりたかったわけでなくてなんかそういう「自由」っていうのに憧れてただけなのでしょう。私はスミコーに入学できて本当に嬉しくて入学式なんてウキウキしておりました。人生で初めて経験した「受験」が終わってなんかやりきった感がありました。中学は高校とは全く違ってそういう校則の面ですごく厳しくてとてもとても息苦しかったのもあります。先生は先生でめちゃくちゃ厳しかったし手が出ることも日常茶飯事でした。それに比べてスミコーの先生はまあ何も怒らない。遅刻しようが携帯ならそうがまあ怒られることはありませんでした。なんかわかんないですけど生徒が先生に信じられていたんでしょうね。あの関係はホント良かったなあと思います。中学と違ってそういう自由なスミコーライフを楽しむぞーと私はホントウキウキでした。けれどなんでだろう。思ったように楽しめない。3年間の高校生活でしたが私はなかなか学校を楽しむことができませんでした。この答辞を書くにあたっても「楽しかった」の言葉がなかなか書けなくて困りました。どうしようかと悩んだ挙句やっぱり正直に言ってみようと決めました。今までは小学校、中学校と厳しい校則などがあったりしましたが学校が楽しくないなんて思ったことは一度もありませんでした。けれど高校に入ってからは学校がなかなか楽しくならないのです。待ち望んでいたスミコーライフをエンジョイすることが一向にできないのです。高校へ入学してすぐに1年生が始まりました。私はウキウキです。なんのクラブに入ろうかなあと考えました。中学の頃はバスケ部に所属しておりました。練習はとても厳しくて辛いものでしたけれど楽しかったので3年生になって引退するまで続けることができました。高校は心機一転違うスポーツを始めてみようと思いサッカー部に入部しました。楽しみにしていたクラブ活動でしたがだんだんだんだんと楽しみ感ワクワク感はなくなり気づけば全く楽しくなくなっていました。どうやったら楽しくなるんだろうどうやったら楽しくなるんだろうとクラブ活動へ向かう道すがらウーンと唸りながら考える日々が続きます。けれどもどう考えても悩みは解消される日は訪れず、一年が経ったある日私はサッカー部を去っていきました。うーん、部活動はどうも楽しくならなかった。じゃあクラスの活動に目を向けてみよう。授業とか休み時間とかそういうことのほうが学校の大半を占めているわけだからこちらを楽しくしようと私は思い立ちました。さあ楽しくするぞーと最初の勢いはとてもあるのですがやっぱり部活動のときみたいにそれは最初だけで気づけばなんかおかしな道に迷い込んでいます。あれっ、どうやったら楽しくなるんだろうどうやったら楽しくなるんだろうと物思いに耽るばかりでやっぱり一向に楽しくなりません。2年生になった私はもう学校は楽しくないやと思い学校の世界を離れます。高校生になったんだしアルバイトだ、アルバイトを始めよう。そしてそっちで楽しくなろう。しかしやっぱり楽しくなりません。気づけば私はもう3年生になっておりました。私に残された高校生活はあと1年しかありません。2年生の終わりには楽しくもならないしもう学校を辞めようかと思い悩み両親と話し合うこともありました。けれど辞めるという選択肢を私は取りませんでした。それがなぜなのかはっきり言って私にも明確にはわかりません。勉強が好きだったかと言えばそうでもなく、成績も悪かったですし、まあなんとなく大学に進学したかったというそれだけの理由かもしれません。さて、そして残り1年の私の高校生活ですが結果的に言いますとこれがめちゃくちゃ楽しくなりました。なぜかというとそれは友だちができたからです。それだけのことかよって言う話なのですがそれだけのことに私は2年かかりました。なんで友だちができたのか、そして今までできなかったのかをよく考えるのですがはっきりした答えは今でもよくわからなかったりします。その友だちと3年生になって偶然出会って気が合ったからという面もあるのかもしれませんが1年生のときに出会ってたら友だちになれたかどうかはわかりません。私は人をバカにしていた、見下していたんじゃないかなあと今になってそう思います。対等な関係というのでしょうか、尊敬や尊重する関係というのでしょうか、私にはそんなものはありませんでした。私は誰も信じていませんでしたし誰にも信じられていませんでした。人と対等な関係を結ぶことができた私はそこからはどうやったら楽しくなるんだろうなんて思い悩むことはありません。やることなすことすべてがハッピーライフでした。学校で学んだこと、成長できたことなんてありきたりなことを言うのはあれですが、私はこの高校に通い友だちができて本当に良かったと思います。みなさん卒業おめでとうございます。そして私は私に卒業おめでとうと言いたいです。どうもありがとうございました。