甲田守の『根こそぎ掘りデー』第9回 姜ちゃんとそのパートナー。

「こ〜だくぅ〜ん、いまなにしてんのぉ〜〜」
高校から何一つ変わっていない彼女の喋り方に僕は驚きを隠せませんでした。
姜ちゃんはみんなからはよく『天然』と呼ばれていました。
おっとりとしていてのんびり屋、間延びしたその口調はふわふわふわふわゆ〜らゆら、まるで空を飛んでいるかのようです。
「あのなぁ〜、うちのダンナがなぁ〜、なんか〜関西弁しゃべれる人さがしとってぇ〜、こ〜だくん演劇やってんねんやんなぁ〜、なんかやってくれへんかなぁ〜とおもってぇ〜連絡してみてんけど〜」
「ええよ」
「ええ〜ほんまに〜ありがと〜、こ〜だくんほんまひさしぶりやなぁ〜こ〜だくんいまなにやってんの〜〜??」
「演劇」
「ああそうなんやぁ〜演劇やってんねやぁ〜うちのだんなもなんかそういうかんけいやからこ〜だくんに連絡してんけどああそうなんやぁ〜演劇やってんねやぁ〜、ええ〜こ〜だくんいまどこにおんの〜」
「東京」
「ああそうなんやぁ〜とうきょうなんやぁ〜うちのだんなまだ帰ってきてへんねんごめんなぁ〜ほんまこ〜だくんひさしぶりやなぁ〜ええ〜こ〜だくんいまなにやってんの〜」
「演劇」
「ああそうなんやぁ〜えんげきやってんねや〜ほんまひさしぶりやなぁ〜あのなぁ〜…………」
おっとり美人の姜ちゃんは今は空港で働いているそうだ。地に足はしっかりとついている…。
姜ちゃんのパートナーは映画の専門学校へ通っていたとの情報は風の便りで聞いている。
ドラマの撮影にあたって関西弁の方言指導をできるものはいないか?
そこに白羽の矢が立ったのが私?で果たしていいのか…。
打ち合わせは『そして怒濤の伏線回収』の休演日である9月19日に行われました。わたくしの家で。
午前11時、脚本を携えて姜ちゃんのパートナーがわが家に到着です。
「今回は急な依頼にもかかわらず引き受けて下さりどうもありがとうございます。では早速ですが台本を読みましょうか。」
前日にデータを送って頂いておりましたので該当箇所はしっかりと予習済みです。
読みと同時に音声も録りました。
「さすが!やっぱりいいですね!」
褒められる。嬉しい。
ので調子にのる。
「ここは『いい』より『ええ』のほうがええですな。」
初対面なのにいきなり脚本へのダメ出し、そしてそれが受け入れられる柔軟さ。打ち合わせ後はご飯までご馳走になる好待遇です。
現場では私は一体どのような立場に置かれるのでしょうか。行ってみなければわかりませんね。とりあえず自宅で練習しておこう。
「それちゃうちゃうちゃうん?」
「ちゃうちゃう、ちゃうちゃうちゃうって。」
「いやちゃうちゃうちゃうゆわれてもちゃうちゃうやろ?」
「ちゃうちゃうちゃうちゃう、ちゃうちゃうちゃうってゆうてるやん。」

うん、オレめちゃめちゃイケてるやん!
ほな気張って行こかと。

甲田守の『根こそぎ掘りデー』とは…?

休日の行動スタイルが基本的に「座っている」で有名なネコソギこと甲田守がホリデーに誰かを誘っては「座っている」からの脱却を図るという、知的かつ高尚な難解プログラミング企画………ではなく単純に誰かを誘って遊びに出かけるという、ただそれだけの企画である。隔週月曜更新を予定。

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