「選挙に行こう」と書いた。何だろうこの空虚な感じは。どこにも届いていない気がする。なぜだろう。その答えの一端が見えたかもしれない。
朝日新聞6月30日(木)付朝刊、小熊英二さんの論壇時評から引いてみる。Journalism6月号に掲載された松田馨さんの記事を参考にした箇所より。
『ネットを通じて政治への関心を高める活動をしている松田馨は「政治をかじっている人間」ほど「政治に無関心な人たちの感覚」を理解できていないという。政治の知識を「わかりやすく」解説するといったやり方は、「もともと政治に関心のある人にしか届かない」のだ。
政治を語る者が陥りがちな誤りは、自分が政治に関心を持った最初の契機を忘れていることだ。彼らは「政治に無関心な人たちの感覚」がわからなくなっている。だから彼らの言葉は、あらかじめ政治に関心のある人にしか届かない。
思い出してほしい。あなたが政治に関心を持った契機は何だろう。それは魅力的な先輩の姿や、友人の誘いなど、人間との対話ではなかったろうか。人間はデータよりも、人間に動かされるのだ。』
ネット上での一方通行はときに虚しくそして悲しい。思い当たるところがある。バイト先で20歳の学生と政治について話したときのことだ。彼女にとっては初めての選挙が近づいている。経験者として何を話そうか。「魅力的な先輩」に写ったのかはわからないし動かしたのかもわからない。ただ「選挙、行きます」と言ったその言葉からはこちらが動かされ、そこに対話があったことは間違いない。対話の重要性、そしてやはり人間はデータよりも、人間に動かされるのだ。「政治」だけではない。先の文章は他にも当てはまる。奇しくも、日付変わって本日は自分が出演する次回公演のチケット発売開始日である。特に対話が欠けている自分が人を動かせるはずもない。しかし、イチからなのかゼロからなのかわからないが31歳、人間との対話を諦めることは決してできないのだ。そしてデータによる宣伝も怠らない。あくまで一応、一応ね。「政治」へのチケットはもう届いている。あとは「演劇」へのチケットを買うだけだ。そう書くとやはり無料のチケットの方が…。
アガリスクエンターテイメント
『七人の語らい(ワイフ・ゴーズ・オン)/笑の太字』
東京:8/31〜9/4@サンモールスタジオ
大阪:9/9〜9/11@ in→dependent theatre 1st
チケット発売7/2(土)10時
大阪http://ticket.corich.jp/apply/75273/013/
東京http://ticket.corich.jp/apply/75272/013/